無能者物語。第一話「ジュン兄の分も生きる」。
植原ジュニア「ジュン兄は無能だなあ、宝はここにあるじゃん!!」
植原ジュニアが砂場から頭を出している物を指さした。
植原ジュニア、当時4才。
植原ジュン「うわあ〜ん」
泣くジュン。植原ジュン、当時7才。
植原ジュニア「(しまった、ジュン兄より目立っちゃった)」
笑う植原ジュニア。
それから5年後のお正月。
植原ジュニアはジュンと祖父とで公園に来ていた。
たこ揚げをするジュン。
植原ジュニアは祖父の咲希原歳三を相手に笑いを取る。
植原ジュニア「俺、絶好調」
植原ジュニアは地面の土に植原ジュニアと名前を足で書いた。
咲希原歳三「植原ジュニアは、すごいのお。落ちこぼれのジュンとは大違いじゃ」
そこで植原ジュニアはハッとした。
5年前のジュンを思い出していた。
植原ジュニア「(思うとジュン兄は落ちこぼれでもきっといつか将来においては後悔しないはずだ。早熟者ほど物を作れなかったり欲しい物も手に入れられないものだから)」
それから2年後、植原ジュニアは無能者を装い生きるようになっていた。
植原ジュニア、10歳。小学五年生。
植原ジュニア「初めまして。植原ジュニアです。将来の夢は漫画家です。物をつくる職業に就きたいです」
クラス替えして幕を開けた小5。
植原ジュニアが自己紹介でそう言うと拍手が巻き起こった。
イシワスム「植原ジュニア、よろしくな」
植原ジュニアが席につくと、右隣の席のイシワスムがそう言った。
植原ジュニア「うん(イシワスム君は本当の僕を知らない。でも良いんだ。ジュン兄は人生の青写真に基づけない。でも僕はきっちりとあの時に見て感じたジュン兄の人生を生きるからね。何よりもワクワクするし。この生き方が)」
ビックボブ君「(植原ジュニア、いけすかねえ奴だ)」
一番後ろの席のビックボブ君は植原ジュニアを見て笑みを浮かべた。
やがて休み時間になった。
植原ジュニア「イシワスム君、ドッチボールに」
イシワスム「入りたいか?いいぜ」
ビックボブ君「やめときな、イシワ」
植原ジュニア「え」
ビックボブ君「なーんて、冗談だよ」
イシワスム「ですよねー」
植原ジュニアは喜んでドッチボールのコートの中に入る。ドッチボールは楽しいと植原ジュニアは思った。ジュン兄のことが頭をよぎる。
こうして植原ジュニアの学校での一日が終わった。植原ジュニアが自宅に帰宅すると、植原ジュンが出迎えた。植原ジュン「先にお風呂に行ってきな」植原ジュニア「うん」
植原ジュニアはお風呂に入り思った。
植原ジュニア「(イシワスム君かあ。良いなあ、友達になりたいなあ。って、これもジュン兄目線かもね)」
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ベストセレクション。その2。無能者物語。第一話「ジュン兄の分も生きる」。
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